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2023.07.19

ZEH(ゼッチ)住宅の基準とは?省エネ基準との違いやメリットを解説

こんにちは!
価格と性能を両方真面目に考える北九州の「地元で生まれ地元で育った工務店」
ハゼモト建設より住まいと建築の知識をお届けするブログコーナーです。

あなたは「自宅の光熱費が高い」と悩んだり「エコな家で暮らしたいけど、どうすればいいかイマイチわからない」と不安な気持ちになったりしていませんか?

その悩みは、ZEH(ゼッチ)住宅の基準を理解し、それに基づいて家を建てることで解消できます。ZEH住宅は、エネルギー消費を大幅に削減し、快適な生活を実現する新しい住宅基準です。

本稿ではZEH住宅の基準とそのメリット、さらには省エネ基準との違いについて詳しく紹介します。あなたも、新しい住宅基準を理解し、自分の価値観に合った家を建ててみませんか?

ZEH(ゼッチ)住宅の基準

さっそく、ZEH住宅の概要や条件をご紹介します。

ZEH(ゼッチ)住宅の概要

ZEHとは「Net Zero Energy House (ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」を指します。

これは、家庭で使用するエネルギーから太陽光発電などで創るエネルギーを差し引いて、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にするという意味です。

ですから、ZEH住宅は省エネと環境配慮を両立した新築やリフォームを考えている方々にとって、非常に魅力的な選択肢となっています。

また、政府もZEHの普及に向けた取り組みを強く推進しています。

2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」と述べています。

さらに「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とも述べられています。

これらの政策は、ZEH住宅の建築をご検討中の方々にとって追い風となるでしょう。

ZEH(ゼッチ)住宅の条件

ZEH住宅の定義は「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

これを意訳すると「快適な温度環境で過ごせる家」であり「家で使うエネルギー量 ≦ 家でつくるエネルギー量」の家となります。

これらの条件を満たすことで、新築やリフォームを考えている方々が、環境に配慮した生活を送りつつ、長期的な光熱費を抑えることが可能となります。

ZEH住宅と認定されるためには、以下の4つの基準すべてに適合する必要があります。

1つ目は、ZEH強化外皮基準を満たすこと。

これは、住宅の外壁・屋根・窓・ドア・床・天井など、外気に接する部分の断熱性能を高めることを指します。

2つ目は、再生可能エネルギーを除いた基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減すること (詳しくは後述)。

3つ目は、再生可能エネルギーを導入すること。

、再生可能エネルギーには「太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中や自然界に存在する熱、バイオマス」などが含まれますが、ご家庭では太陽光が現実的でしょう。

最後に、再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減することが求められます。

これらの基準を満たすことで、ZEH住宅と認定され、省エネルギーと環境配慮を両立した生活を実現することが可能となります。

ZEH強化外皮基準とは

ZEH強化外皮基準とは、主に「冷房期の平均日射熱取得率 (ηA値)」と「外皮平均熱貫流率 (UA値)」の基準をクリアすることを指します。

これらの値は、住宅の所在地によってクリアすべき基準が異なります。

ηA値は「いーたえーち」と読み、日射の入りやすさを表します。

具体的には、外皮や窓ガラスから入り込む日射量を外皮面積で割って算出します。

値が小さいほど住宅に侵入する日射量が少なくなり、冷房効率が良くなるということです。

一方、UA値は、熱の逃げやすさを表します。

住宅内部から外皮を通って外へ逃げる熱量を外皮面積で割って算出します。

値が小さいほど熱が逃げにくくなり、省エネ性能が高い住宅になるということです。

基準一次エネルギー消費量から20%以上の消費量削減とは

ZEH住宅の条件として、「平成28年省エネ基準」より一次消費エネルギーを20%削減することが求められます。

これは、エネルギーを効率よく使える住宅設備を導入することを意味します。

具体的には、空調設備(冷暖房)、換気設備、照明設備、給湯設備などが対象となります。

これらの設備を導入することで、新築やリフォームを考えている方々が、環境に配慮した生活を送りつつ、長期的な光熱費を抑えることが可能となります。

ただし、一次エネルギーの消費量削減を達成するには高効率設備機器だけでは不十分で、現在のエネルギー使用量を把握する必要があります。

たとえば、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)によって、エネルギー使用量を見える化するとよいでしょう。

これらの設備やシステムを活用することで、エネルギーの使用状況を把握し、より効率的にエネルギーを使用することが可能となります。

ZEH(ゼッチ)住宅の種類

ZEH住宅には、いくつか種類があります。それぞれの特徴をご紹介しましょう。

ZEH

ZEH住宅は、外皮の高断熱化と高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスとなる住宅です。

これには、ZEH強化外皮基準の適用、再生可能エネルギー設備の導入(容量は問わず)、一次エネルギー消費量の20%以上の削減、そして再生可能エネルギーを含めた一次エネルギー消費量の100%以上の削減が必要となります。

ZEH+

ZEH+は、ZEHよりも高性能で、高効率設備を強化した住宅です。

ZEHと同様の基準に加えて、一次エネルギー消費量の25%以上の削減が求められます。

さらに、以下の3要素のうち2要素以上を採用することが必要となります。

1つ目は、外皮性能の更なる強化。

2つ目は、HEMSを導入し、住宅内の空調設備と給湯設備、省エネ設備を制御することによる高度エネルギーマネジメント。

3つ目は、太陽光発電等で発電した電力を電気自動車に充電できるようにすることによる自家消費の拡大措置です。

これらの要素を取り入れることで、より高い省エネ性能を実現します。

Nearly ZEH

Nearly ZEHは、ZEHを見据えた先進住宅として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギー等により年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた住宅です。

ZEH強化外皮基準に加え、再生可能エネルギー設備の導入(容量不問)、一次エネルギー消費量の20%以上の削減、そして再生可能エネルギーを含めた一次エネルギー消費量の75%以上100%未満の削減が必要となります。

特に寒冷地、低日射地域、多雪地域での採用が見られます。

Nearly ZEH+

Nearly ZEH+は、Nearly ZEHよりも高性能で、高効率設備を強化した住宅です。

Nearly ZEHと同様の基準に加えて、一次エネルギー消費量の25%以上の削減が求められます。

さらに、以下の3要素のうち2要素以上を採用することが必要となります。

1つ目は、外皮性能の更なる強化。2つ目は、HEMSを導入し、住宅内の空調設備と給湯設備、省エネ設備を制御することによる高度エネルギーマネジメント。

3つ目は、太陽光発電等で発電した電力を電気自動車に充電できるようにすることによる自家消費の拡大措置です。

ZEH Oriented

ZEH Orientedは、「ZEH」を指向した先進的な住宅として位置づけられています。

ZEH Orientedは、都市部の狭小地に建築された住宅に限定されます。

ZEH Orientedの住宅は、外皮の高断熱化と高効率な省エネルギー設備を備えることが求められます。

その一方で、再生可能エネルギー設備の導入や、再生可能エネルギー等を含めた一次エネルギー消費量の削減は必須ではありません。

都市部狭小地とは、北側斜線制限の対象となる用途地域(第一種及び第二種低層住居専用地域並びに第一種及び第二種中高層住居専用地域)等であって、敷地面積が85㎡未満である土地を指します。

ただし、住宅が平屋建ての場合は除くとされています。

これらの地域では、土地の制約から再生可能エネルギー設備の導入が難しいことが多いため、ZEH Orientedというカテゴリが設けられています。

省エネ基準とZEH(ゼッチ)基準の違い

つづいて、省エネ基準とZEH基準の違いをご紹介しましょう。

省エネ基準とは

省エネ基準は、1980年に省エネ法の施行に伴い、国土交通省の告示で制定されました。

この基準は、日本を8つの地域に分け、それぞれの地域に適した基準値を設定しています。

2025年4月以降に新築する住宅や非住宅に対しては、この基準の適合が義務付けられることになっています。

基準の内容は、これまで何度も改正されてきました。

現行の基準は「H28省エネ基準」と呼ばれ、UA値とηAC値の2つの指標で評価されます。

UA値は、建物の断熱性能を示す指標で、値が小さいほど断熱性能が高いとされます。

一方、ηAC値は、冷暖房の効率を示す指標で、値が大きいほど効率が良いとされます。

UA値の基準は「地域区分1:0.46、地域区分2:0.46、地域区分3:0.56、地域区分4:0.75、地域区分5:0.87、地域区分6:0.87、地域区分7:0.87」で地域区分8は対象外となっています。

ηAC値の基準は、地域区分1から4が対象外で「地域区分5:3.0、地域区分6:2.8、地域区分7:2.7、地域区分8:6.7」となっています。

これらの値を参考に、自身の住まいがどの程度の省エネ性能を持っているかを把握することができます。

省エネ基準から見たZEH基準の水準

ZEH基準は、省エネ基準と比較して、より厳しい基準を設けています。

特に、UA値においては、ZEH基準の方が省エネ基準よりも厳しい値が設定されています。

具体的には「地域区分1:0.40、地域区分2:0.40、地域区分3:0.50、地域区分4:0.60、地域区分5:0.60、地域区分6:0.60、地域区分7:0.60」で地域区分8は対象外となっています。

一方、ηAC値については、ZEH基準も省エネ基準も同じ基準値が設定されています。

ZEH(ゼッチ)基準の住宅で暮らすメリットとは

つづいて、ZEH基準の住宅で暮らすメリットをご紹介します。

2030年水準の家で暮らせる

ZEH基準の住宅で暮らすメリットとは何でしょうか。

その一つに、2030年の省エネ基準を満たした家で暮らすことができるという点が挙げられます。

繰り返しになりますが、現在、省エネ基準の達成は義務ではありません。

しかし、2025年4月以降に新築する住宅・非住宅は、省エネ基準適合を義務付けられることになっています。

さらに、2030年には省エネ基準が厳格化され、ZEH基準を「新築時に満たすべき省エネ基準」とする予定です。

つまり、いずれZEH基準が標準になるということです。

そのため、今ZEH住宅を建てることで、一足先に2030年水準の家で生活できるというメリットがあります。

夏涼しく冬暖かい快適な家に、低光熱費で暮らせる

ZEH住宅のもう一つの大きなメリットは、その快適性と経済性にあります。

ZEH住宅は、魔法瓶のように保温効果が高い家と言えます。

一度冷やしたり温めたりすると、長いあいだその状態を持続することができます。

これは、家の中の温度を一定に保つために必要なエネルギーを大幅に削減できることを意味します。

真夏や真冬に、快適な温熱環境を低コストで実現できるのです。

ですから、ZEH住宅は環境に配慮した生活を送りたい方や、長期的な光熱費を抑えたい方にとって、大きな魅力となるでしょう。

家の中の温度差が少ない住宅で、健康に暮らせる

ZEH住宅の特性として、保温能力の高さとエネルギー消費の少なさが挙げられます。

これらの特性により、家中を均一に空調することが可能となります。

つまり、リビングだけでなく、廊下や脱衣室などの通常は冷えやすい場所も、快適な温度を保つことができます。

この結果、家の中の温度差が大幅に減少します。

真冬でも廊下や脱衣室がヒヤッとすることがなく、これによりヒートショック等の事故を防ぎやすくなります。

これは、健康に配慮した生活を送りたい方々にとって、大変重要な要素です。

ZEH(ゼッチ)基準の住宅の建築事例

最後に、ZEH基準の住宅の建築事例をご紹介します。

家族の1日の動線を考え抜いた、パッシブZEHのお家

最初にご紹介する家は、子育てと家事を楽しみながらできるように設計された家です。

特に、洗面脱衣室からファミリークローク、リビングへの直結動線が自慢で、3人の子供たちが動きやすいように動線も考慮されています。

また、パッシブZEHの家では、エアコンをつけっぱなしにすることで電気代がお得になります。

太陽光発電パネルを搭載しているため、日中の電気代はさらにお得です。

高気密・高断熱のため、エアコンを連続運転してもエネルギーを無駄にしません。

キッチンは、家電を使いやすくするためにカップボードを高く設計しています。

また、最新の節水トイレに換えることで水道代がお得になっています。

この家では、朝のラッシュに対応するために寝室フロアにも洗面台を設けています。

また、建築主さまからは「すごく親身に悩みやプランを聞いてくれたことが嬉しかった」との感想をいただいています。

https://hazemoto-k.co.jp/gallery/details_1099.html

ライフサイクルコストで選んだ二世帯住宅

次にご紹介する家は、二世帯が共働きや子育てをしながら快適に暮らせるように設計された家です。

玄関や浴室など、一部を共用することで空間を効率的に使う共用タイプの設計が採用されています。

建築主さまがこの家を選んだ決め手は、ランニングコストとZEHに魅力を感じたからです。

子供部屋には充分な収納スペースが確保されており、子供たちの成長に合わせたプランも気に入っていただきました。

建築主さまからは、「2人の子供が産まれ部屋が狭くなり、インターネットを見て『私達でもマイホームを建てられる』とEcoSumaに興味を持った」との感想をいただいています。

また「長男がすごく気に入って、外に遊びに行ってもすぐに家に帰りたいと言うので、家を建てて良かった」と仰っています。

https://hazemoto-k.co.jp/gallery/details_912.html

まとめ:ZEH(ゼッチ)基準の家を建てる前に知っておきたいこと

本稿では、ZEH(ゼッチ)住宅の基準について詳しく見てきました。ZEH住宅がどのようにエネルギー消費を削減し快適な生活を実現するのか、理解が深まったのではないでしょか。

また、ZEH基準のメリットや具体的な建築事例を通じて、実際に暮らすとどんな生活になるのかイメージできたと思います。これから新築される方にとって、参考になれば幸いです。

ZEH基準の住宅は、私たちが未来を見据え、持続可能な生活を送るための一つの大きなステップです。あなたも、次に家を建てる際には、ZEH基準の家を選択肢に入れてみませんか?

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