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家づくりコラム
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2021.12.30
北九州で24時間全館空調は本当に必要なのか?
北九州で24時間全館空調は本当に必要なのか?価格と性能を両方まじめに考える工務店ハゼモト建設の櫨本です。
寒くなると、必ず誰もが体感する事があります。足元の冷たさ、、、
だから、フローリングの上は必ずスリッパ、それが嫌なので冬場だけカーペットを敷く、それでも冷たいのでホットカーペットも登場させる。しかも靴下は二重で、、、
これは日本の住宅が畳から洋式のフローリングにスタンダードな仕様が変化して、この光景は顕著に見られるようになってきました。
なぜ、このようなことになるかと言うと、、、答えはシンプルです。
足元の断熱性が悪いからなのです。これを解決すると、フローリングからホットカーペットを無くし、靴下の二重問題も解決し、そして冬でも身軽に快適に、それこそTシャツで過ごす事ができる室内環境が実現するのです。
家の中が寒いと、様々な問題が発生します。結論から言うと、家は命を守り、健康を育み、快適に暮らす為の器です。
その家が家族の生命を脅かす要因になると知っていたら、そんな家に暮らせないのだと思うのですが、、、いかがでしょうか?
これには、24時間全館空調を導入すると解決します。言葉だけでは、なかなか信じられないと思うのですが、リアルにその体感をされている方が増えています。
この24時間全館空調を仮に後で知った時の方を思うと、少し申し訳ないような気になります。
そもそもなぜ、そのような事になるのか、勘が良い方はもうお気づきだと思うのですが、暑い、寒い、それを感じる家は、人間が末長く暮らしていくには、良い環境ではないのです。でも、なぜかそんな家は減らないのです。
枕草子、徒然草の有名な一説が少なくとも昭和の時代まではスタンダードでした。
家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。
出典:枕草子 徒然草
要は、冬は何とかなる、夏対策を考えて、家をつくりなさいというアドバイスです。
しかし、今は夏対策ももちろん大切ですが、冬対策を怠ると、様々な問題が家庭内事故として、発生しているのです。
①住宅内で発生する事故は交通事故よりも多い
(※厚生労働省「人口動態調査」調査票情報を基に消費者庁作成)
厚生労働省による調査情報(2007年~2016年)及び東京消防庁がまとめたデータによると、65歳以上の方の事故発生場所は8割以上が自宅となっており、「転倒・転落」や「不慮の溺死及び溺水」については「交通事故」より死亡者数が多いのが現状です(上記棒グラフ参照)
本来、家は命と健康を守る為にあるはずですが、もっとも事故発生の可能性のリスクが高い場所ってことが、この圧倒的な数値で物語っています。
「階段からの転落」、「段差での転倒」、「室温の急激な変化によるヒートショックなど、住宅の室内環境は、年齢を重ねていくにつれて、気にしておかなければなりません。
高齢者ほどではありませんが、実は子供にとっても家の中は、必ずしも安全な環境ではないかも知れません。
2018年厚生労働省の人口動態調査によると、「不慮の事故」による子どもの死因順位は0歳では3位、1~4歳と5~9歳では2位、10~14歳では3位といずれの年代にも上位に入っています。
高齢者と子どもとはその原因は違いますが、家の中の環境にもう少し配慮が必要です。
特に夏場の熱中症対策、冬場のヒートショック対策は、エアコンなどの家電製品がその対策に欠かせませんが、電気代を節約するあまり、その効果が発揮されないのは本末転倒ですが、ここ10年位のデータを見ても、高齢者の割合が減る傾向に無いという事は、今まで以上に高齢者対策については注意しておきたいポイントです。
②そもそもなぜ、住宅内で事故が発生するのか?
この答えは前述しましたが、日本の家の特徴と日本人の気質によるところが多いのです。
間違った常識が、作り手も含めて多くの方に浸透してしまった結果、伝統的に暑い家、寒い家をつくり続けてきたのです。
日本人の間違った常識
- 日本の家は夏対策で設計されてきた
- 日本人は節約を美徳とする傾向がある
- 日本の家は窓が沢山ある明るい家が良い間取りだと思われてきた
- ガラスを二重や三重にする発想がなかった
- 断熱材に断熱を期待する発想がなかった
- 隙間風は換気だと勘違いしていた
- 畳からフローリングへ、洋風住宅の憧れがあった
今でも、これらの事は間違った常識と思われていないところがありますが、これらの要因が、住宅内で事故を引き起こしているのは、間違いない事実なのです。
では、なぜ、これらを改善しようとしないのでしょうか?
私が考える一番の要因は、そこに住む方が、それを解決しようと思っていないからなのです。
住む方のリクエストが無ければ、家を建てるハウスメーカーや工務店も安易な方向で仕事をする方が楽です。
断熱性や気密性を高めるには、高度な施工力が必要ですので、当然そのような流れができてしまいます。
それが当然定着して、日本の暑い、寒い家がスタンダード化されてきたのです。
一方、国も根本的な要因がわかっているのに、そこを改善しようとしていない現実があります。
これから2030年へ向けて住宅政策において大きなメスが段階的に入ってきますが、これは家に住む人やつくる人など国内から挙がった声から、アクションを起こしているのではありません。地球温暖化の解決に向けてCO2削減という大変大きなテーマを世界中で議論された事で、その対策をする中でアクションを起こさざるを得ないという局面があります。
③世界が交わした初めての「約束」から流れが変わった
1997年、日本が議長国として国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP3:Conference of Parties)が開催されました。この会議において採択されたのが、「京都議定書」という国際条約です。京都議定書は、参加している先進国全体に対して次のことを要求しています。
「温室効果ガスを2008年から2012年の間に、1990年比で約5%削減すること」
国ごとにも温室効果ガス排出量の削減目標を定めています。この取り決めにより、EUは8%、アメリカ合衆国は7%、日本は6%の削減を約束しました。アメリカは後に京都議定書体制を脱退した(批准しないことを明確にした)ため、この約束を破棄してしまいましたが、この削減目標は世界で初めてとなる取り決めとなり、国際社会が協力して温暖化に取り組む、大切な一歩となりました。 (“京都議定書とは?合意内容とその後について |WWFジャパン”)
ここから、日本の取り組みがスタートしました。まずは、産業界、工場からスタートしてオフィスや車など。この頃は家庭部門への規制は単なるスローガンに近い状況でした。その後の京都議定書の中で目標を持った先進国の取り組みも決して順調とはいえず、ましてや、世界第一の排出国であるアメリカが抜け出てしまっている状態で、途上国に対して先進国が取り組みを要求するというのも極めて難しく、「2013年以降」へ向けた交渉は、テーブルにつく段階から問題が山積みの状態でした。
産業革命以降、130年で地球の平均気温は0.85℃上昇しました。これから更に気温は上昇傾向にあります。温暖化対策を取らないと、地球の平均気温は100年後、4℃程度上昇するという予測もあります。何らかの手を打って、気温上昇を2℃程度に抑えて、人類が共存できるような世界を作ろうとするのが、大きな目的です。
21世紀末に温室効果ガスを実質ゼロにする「パリ協定」が合意
京都議定書では決められていない、「2013年以降」の、国際社会による温暖化防止のための取り組みについての取り決めは、各国が話し合い、2009年にデンマークのコペンハーゲンで開催されたCOP15・COP/MOP5までに決めることになっていました。
しかし、厳しい交渉の末、国際社会はCOP15で新しい合意を作ることができませんでしたが様々な議論を何度も重ねて2015年のCOP21において、「パリ協定」が成立し、新しい国際的枠組みが誕生しました。法的拘束力がある「パリ協定」、日本は2013年比で26%削減する国際的な約束を果たし、そして2020年4月には、菅総理大臣が2013年度に比べて46%削減することを目指すと表明しました。
こうなると、今まで努力をしてきた産業部門だけではなく、家庭部門も、待ったなしの省エネ政策が実施されるという流れです。普通に省エネと言われても、国民は直ぐにその行動をチェンジしてくれません。新築時の規制もなかなか思うように進められません、当たり前です。20年以上も省エネについては、進化することを怠っていましたので。
そこで、政府は消費者メリットをPRしてきました。断熱性を向上すると健康に良いと、急にPRを強めます。断熱性の向上=省エネという図式で、一般消費者には環境とは違った切り口で、その必要性を伝えていく作戦を展開していきます。補助金なども様々な制度が準備されてきました。
③北九州で全館空調の必要性とは
繰り返しになりますが、従来、日本の家は多少暑くても寒くても仕方ないって事で建てられてきました。しかし諸外国は家の中で暑いや寒いなどの感覚がない、北海道でも冬は快適という満足度が高いアンケート結果もあります。そして、断熱性を上げれば大丈夫かと言えば、それだけでは十分ではありません。HEAT20G2レベルの高性能住宅でも、外気温が1℃程度の時、リビングを20℃にしていても、自然室温のままでは洗面室などは15℃程度になるとのシミュレーション結果が出ています。
断熱性能を上げると光熱費の上昇を防ぐことになります。等級4のレベルの家で部分間欠暖房をした時とG2レベルの家で全館連続暖房した時と、ほぼ同じエネルギー使用量というシミュレーション結果もあります。全館空調した時の一次エネルギー消費量は、省エネ基準をほぼ下回る結果も出ています。年間の電気代に換算すると5〜6万円程度です。
全館暖房は基本24時間空調機を稼働させている状態です。電気代は間欠稼働の方がほぼ確実に節約される結果になるのですが、当然、再スタートさせた時には、かなりのパワーを要しますので、電気代もそのパワーに比例していきます。思った以上に節約する事はできないかも知れませんし、その前に、寒い、暑い状態をガマンするカタチになるのは、快適な状態とは言えません。温度の下がり方次第ですが、完全な状態に戻すのに1週間程度の時間がかかったという話もあります。その間は、不快な状態で当然、暮らすことになります。
一度、全館空調を体感した方は、その良さを手放す事ができません。トイレも洗面も廊下も全て同じような室温になるのです。地球の温暖化は防がないといけませんが、冬の室内の温暖化は大歓迎です。冬に素足でフローリングの上を歩く、、、一見当たり前のようですが、それを実現できる家は多くはありません。
赤外線カメラを利用して、足先の状態を撮影しました。素足では、ほとんどの家では、こんな状態ではないでしょうか。全館空調で床下エアコン(Buucoシステム)を活用していますので、単なる全館空調に加えて足元もポカポカになります。素足のまま、室内にいて25分後の状況です。何と、指先から、足首の方へ体温が変わってきているのがわかります。冬場でも心も身体も健康な状態を、全館空調システムは実現してくれるのです。
実はエネルギー問題を解決する事は、住まいの室内環境を改善する事と、密接に繋がっているのです。地球温暖化問題は、壮大な環境への取り組みですので、正直ピンとこない方が多いのではないかと思います。環境も大切だけど、目の前の暮らしお金のことも大切だと。床下エアコンを活用した全館空調は、この2つの大きなテーマを解決してくれるのです。
しかもこれを設置する費用は約25万円〜30万円。大掛かりなシシテムではありませんし、機器の取り替えも家電屋さんで対応できるので、将来的にも安心です。
ダクト方式と違って、正確な計算をしていませんので、室内におけるある程度の温度誤差はありますが、価格と性能を両方まじめに考えると、私はこの24時間全館空調方式を全てのお客様に自信を持ってご提案しています。
北九州の家を一年中快適に
これが、私のミッションです。
- 断熱性
- 気密性
- 自然の力を活用するパッシブ設計
- 高効率の設備機器
この4つをコントロールするところ(設計力)が、ハウスメーカー以上の高性能住宅をお値段以上のコストパフォーマンスで実現し、地域密着の工務店の腕の見せ所だと考えています。私たちのような考えを持つ工務店が今後どんどん増えてくるように、私たちは北九州で一年中快適な家を数多くつくっていきたいと思うのです。