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家づくりコラム

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2022.01.10

北九州の住宅で断熱性と気密性の過去と今、そしてこれから大切なポイントについて

■湯船と住宅の理論は同じなのです

価格と性能を両方まじめに考える北九州の工務店、ハゼモト建設の櫨本です。今回は北九州の住宅で断熱性と気密性の過去と今、そしてこれから大切なポイントについて、ご説明いたします。


寒くなると身体の芯まで冷えてきて、どうしても暖かいお風呂に入りたくなりますよね。特に冷え性の方は足先が氷のように冷たくなり、二重に靴下を履いてもホッカイロを付けても、どうにもこうにも解決策にはなりません。

しかし、それを解決してくれるのが、お風呂。
シャワーでは解決できない快適さと身体の疲労回復効果があります。日本人で良かったと思える瞬間じゃないでしょうか。冬は湯船につかる。
至高の幸せです。

でも、そんな湯船も、時間と共にその快適さが直ぐに失われてきますよね。
足し湯よりも節水になるので、追い焚き機能付がメジャーになっていますが、この湯船のお湯の温度調整、実は住宅の室内環境のミニチュア版的な理論と同じように考えられるのです。

今回は、なぜ冬場の湯船は直ぐに冷めるのか?の理論を通じて、冬でも暖かい住宅を手に入れる為のポイントについて、ご説明したいと思います。「冬、寒いのは当たり前、防寒対策するから大丈夫」は、昭和の時代の間違った常識ですよ。

■湯船のフタ?直ぐに冷める原因はそこじゃない

お風呂も大きく分類すると在来方式とユニットバス方式があります。在来方式とはユニットバス工法が普及していなかった、主に昭和の戸建て住宅で採用されていた工法です。
それと共に、ゴージャスなタイルや石張仕上げで、大きな浴槽や広い洗い場など、プチ温泉仕様のゴージャスなお風呂も在来工法です。

在来工法(昭和の家)
在来工法(豪華仕様の一例)

平成になれば、ほとんどの戸建て住宅は、ユニットバス工法が採用されています。FRPや樹脂製品なので、表面のヒンヤリ感はかなり低減されています。このユニットバス工法もユニットバスの底や基礎廻りに断熱が施工されているかが、実は大きなポイントとなります。

ユニットバス工法
浴室断熱施工状況 ハゼモト建設施工

話を戻して、在来工法の問題点をリストアップしてみましょう。

  1. 仕上げがタイルや石の場合は、どうしても表面が冷たい
  2. 排水計画処理として、脱衣室と段差が必要になる
  3. 排水を考慮して、ある程度床に勾配をつけないといけない
  4. 床には断熱材がほぼ施工されていない
  5. 経年劣化でタイルや目地にクラックが入ると、水により躯体に影響し結露やカビ、シロアリ被害の要因となる

今回のテーマでは、問題を④の床に断熱材がほぼ施工されていない、ここに着目したいと思います。
実は、これはユニットバス工法にも言えることなのです。
ユニットバスも最近の商品は、断熱に配慮されている商品が増えてきていますが、実際見えないので、ローコストや建売住宅では確認した方が良いと思います。なぜ、大切なのかと言うと、

出典:断熱浴槽 パナソニック

結論、浴槽のお湯の温度を奪うのは、風呂フタの問題ではなくて、浴槽や浴室に断熱の配慮が、あるか無いかなのです。湯船のフタも当然、無いよりあった方が断熱効果はありますが、この断熱浴槽の効果はそれ以上にあるのです。極寒でなければ、追い焚き無しで、次の時も入れるパターンも多い事が想定されます。

■住宅の断熱性も同じ論理

そもそも在来工法の浴槽廻りは砕石や土です。
浴槽そのものはFRPやホーローなどの薄手の素材です。屋外のテント、床がシートとは同じではありませんが、ほぼそれに近い状況をイメージしてください。
断熱性が保てる訳がありません。

現在の住宅では、ほぼユニトバス工法ですので、これとは違う問題が発生しています。まず、床断熱工法ですので、通風のために床下は外気と同じ環境です。この状態のままだと、昭和の浴室よりも土や砕石が無い分、断熱効果がほぼありません。

では、どうなっているのか?浴槽に断熱材が保温されている商品があります。保温材が浴槽に施工されていると、クーラーボックスのような状態になります。

屋外テントのビニール敷の床とは大きな違いがでてきます。
基礎断熱工法は更に、床下は外の環境と遮断され、室内環境と同じですので更に断熱効果は高くなります。

このように断熱材の効果で、日常生活でも大いにその恩恵があるのですが、日本人は意外とこの辺のところには寛容です。
断熱にはあまり関心を示さない傾向があります。

■風呂には穴があいていないが、家には穴があいている?

逆に、隙間には敏感です。
昭和の家では、隙間にテープを貼ったり、ドアの開けっぱなしって神経使ってなかったですか?当然のごとく、断熱性が良い魔法瓶やダウンジャケットに穴が空いていたら大変です。

誰もが気にするのです。

それなのに、住宅業界では驚くことに気密性の規定がありません。気密性とは、隙間がどれくらいあるかということです。

厳密に言うと、以前は存在していたのですが、平成11年基準の時には、気密性能を表すC値は5以下という規定が存在していました。

現在ではC値は1以下というレベルが高性能住宅では求められていますので、設定値としては低いのですが、基準が無いよりはマシです。

平成25基準では気密性能の基準では完全に削除され、その後の改正でも復活することはなく、現時点でも規定なしのままです。

C値と隙間面積の例え

何で、数値基準が無くなるのか?

疑問に思いませんか?

あなたの予測はズバリ当たっていると思います。
何か事情があるのです。それも住宅業界だけの事情が、、、

当時は外皮計算を計算ツールも少なくて、仕様規定で熱損失係数Q値を概算にて計算できたのですが、今も昔も気密性能のC値だけは、現場で実測しなければ数値は算出することができません。

この数値は卓上論ではなくて、現場の職人さんの仕事や材料、工法など施工精度がこの数値に大きく影響してきます。この事を知っているが故に、基準をくしたのですね。

この数値を算出するのは、現場で気密測定検査を実施するしかないのです。
だから、削除された、、、であれば、逆になぜ、以前はC値5以下の規定を設定していたのでしょうか?

恐らく、食品でこのような規定が変更されたら、大騒ぎになると思いますが、住宅業界のクローズされた世界では、なかなかこれらの話がオープンになることは少ないですし仮にマスコミが、気がついても、影響ある方が少ないと判断して、報道で取り上げてもくれないような気がします。

こんな感じで、旧態依然の法律の中で、現在もスカスカでも断熱性能さえ所定の厚みが入っていれば、気密性能がなくても等級4の断熱を名乗っている家がたくさん建築されているのです。

業界関係者は実は誰もが知っています、『横断歩道みんなで渡れば怖くない』まさにこのような状態なのです。このような現実の中で、気密性を語る方がまだまだ少ない理由をご理解していただけるでしょうか。

穴があいている魔法瓶、穴があいているダウンジャケットって使えないのですが、穴が沢山あいていて隙間だらけの家には、あまりクレームをつける方はいません。出来上がったら見えないですので。

とはいえ、家は完璧に隙間を防ぐことはなかなかできませんが、気密性が明確に担保されていない住宅で、いくら断熱性を高めても、コスパが悪いだけという意識を建てる側が持たないと、いつまで経っても冬暖かい高性能住宅を供給することはできません。

出典:新建ハウジング

気密性能C値が削除された!

断熱気密性の業界の第一人者東京大学院の前 真之准教授の本「エコハウスのウソ」で説明されています。

「気密性能が削除された理由として、

(※出典:前 真之東京大学准教授 エコハウスのウソ)

「相当隙間面積は、完成後に測ないとわからない!
役人の立場では、図面でチェックできないと困るな~
大工の立場では、この忙しいのにいちいち計測なんてやってられるかい!」

このように「エコハウスのウソ」で気密性能が削除された理由を書かれています。

出典:前 真之東京大学准教授 エコハウスのウソ

大手ハウスメーカーの圧力・・・

という話もあります。新しい材料や工法を考えて、断熱性能をどんどん上げる事を検討することは可能ですが、特に鉄骨系プレハブ商品の工場で組み立てるタイプは、工法の性質上クリアランスなど、隙間スペースが必要となり、気密性を高めることは極めて困難なのです。

しかも、気密性能は現場での測定により出しますので、現場での職人さんの技術に頼らないといけない、、、

気密性能C値・隙間を管理できない、ということになるのだと推測していますし、コストもバカになりません。管理手法やコンプライアンス規定、利益など、様々な要因で気密性能は削除されたのだと、私は推測しています。

■まとめ

湯船の断熱性の大切さをご説明しましたが、実は本当に暖かい高性能住宅をつくるには、断熱性を議論する時代は、実はもう終わっているのです。
キチンとした建物を供給する気持ちがある会社は、少なくともZEH以上の住宅を今では標準仕様にして供給しいます。

しかし、これから国策も絡んできて、省エネ性能を大手ハウスメーカ、ローコスト住宅や建売住宅でも、大々的に、しかも相当に性能が向上したというオーバーアクションとも取れるPRをしてくると予測できます。

何が一番大切かと言うと、繰り返しになりますが、一番肝心なポイントは気密性です。これがしっかり担保されていないと、その性能を十分に活かすことができないという事を、これから家づくりを考える方には、しっかり理解して頂きたいのです。


当然、断熱性能を各社が上げる費用はお客様から頂く訳ですので、その効果が出ないと、残念ですよね。今後も気密性について、極力触れたがらない傾向は続いていくと思います。


住宅業界の常識は、私たちの非常識的なところもあります。
成功する家づくりは、しっかりと本物か偽物かを見極める力が必要です。


ネットの世界で簡単に情報は入手できますが、一般的な二字情報はあまり役には立ちません。
どうすればそれがわかるのか?一次情報を入手することです。実際の建物をあなた自身が体感して、家の快適さや性能を数値と共に確かめてください。


そして、一言尋ねてみてください
「この建物の気密性は?」
「この建物の数値は、、、、」と明確に答える会社、営業マンは、かなりの確率で信用できるのです。